シンガーをめざすボイストレーニングに取り組むならば、発声方法や声の出る仕組みだったり、呼吸についてある程度知っていたほうがいいのです。
あなたが歌を歌ってみて自分でその出した声をチェックしたとします。
(声を録音するのはボイストレーニングの基本です)
どこがどう悪いからあなたの声にプロのシンガーのようなビブラートがかからないのでしょうか?体のどこをどう使えばビブラートのかけ方を操れるのか知っていれば、聞いた声に対して、足りないものがわかるはずです。
憧れのシンガーみたく高い声を出したいけれどどうしたらいいの?という質問が多いのですが、なぜ出せていないのかを自分の声を聞いて発見できますか?
発声方法なのか?喉に力が入りすぎなのか、ハイトーンボイスのボーカリストとの発声方法のちがいは何なのか?
これはもちろんボイストレーニングスクールで、ボーカルレッスンで教えることはできますが、最終的にはあなた自身が気がついていくことです。一流のシンガーになると、録音している声を聞かなくても、歌を歌っている最中に自分の息だったり声の出しかたに敏感になっていくと、歌いながらの修正も可能になっていきます。
プロのシンガーでも曲の最初から最後まで通してスバらしい声、思い通りの声を出せるわけではありません。
機械ではないのですから、その日の調子やテンションなんかも影響して、うまく歌えないときもあるでしょう。
しかしなぜ彼ら一流のシンガーが、いつライブを見に行っても観客を感動させる声を披露できているのでしょうか?
プロの一流のシンガーは声の調子がおかしいときでも、歌いながらの修正をきちんと行っているのです。
なぜあなたはボイストレーニングをしたいのか?自分自身に確認してください。
プロのシンガーになりたいのですか?
カラオケの達人にないりたいのですか?
それとも音痴を直したいのですか?
どのような動機でもかまわないのですが、シンガーは歌いながらもその神経をどれほど声に注いでいると思いますか?
自分の発声方法や響き方がおかしいと感じた時のシンガーたちの、ステージを問題なく進めながらきっちり本来の声に持っていくさまは見事というほかありません。
曲の途中に急に水を飲みだしたり、ごほんと咳き込んでしまったりしたらライブは台無しです。
もちろんプロのシンガーはそんなことはしません。
わずかな曲間だったり、フレーズの合間にそれを行うのです。
そしてライブを何とか乗り切った後、知り合いのシンガーはわたしと話しする機会があったりするとこういいます。
「ばれた?」
どこでうまく声が出ていないか、そしてどう修正していたのか、こちらは知ってるだろうという口ぶりです。
わたしたちは笑いあいながらこういいます。
「あんな手もあったんですね。勉強になりました」
ボイストレーニング方法を教える側に立ってしまうとそのシンガーのステージでのわずかなそぶりも、その理由がつかめていきます。
目的をしっかりもって取り組まないとボイストレーニングは継続するのが難しいです。どうせ発声について、ボーカルについて学ぶのでしたら、こうしたやりとりに蚊帳の外にならずに、ぜひ入ってきて声について語ってほしいものです。
ボイストレーニングの前に、歌に関することで
『今、何が出来て何が出来ていないか』
確認することから始めましょう。